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ビルやデータセンター運用をDXで支援するスマートソリューション【セミナーピックアップ前編】

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近年、ビルやデータセンターの運用現場では、設備の複雑化・法令対応の煩雑さ・保守コストの高騰など、さまざまな課題が顕在化しています。特に、突発的な設備故障によるダウンタイムは、1分で100万円以上の損失をもたらすこともあり、企業の信用や収益に直結する重大なリスクとなっています。
こうした背景の中、現場の状況をリアルタイムで把握し、予防・予知保全への転換が求められています。

ネットスターズでは、世界的に評価の高いソリューションのSoftdelとHexagon EAMのサービスを基盤に、日本国内向けに「ビル・データセンター向けスマートソリューション」を提供しています。本ブログでは、先日行った講演内容をもとに「スモールスタートで確実に成果を出すアプローチ」をソリューション内容と共に2回にわけてご紹介します。前編ではソリューション提供の背景と、関係するプレイヤーについてです。

ビルやデータセンター運用の抱える課題

予期しない設備故障
設備の突発的な故障により業務停止やサービス中断が発生し、大きな経済損失をもたらします。

高額な保守コスト
緊急対応、部品の緊急調達、専門技術者の派遣など、事後保全は予防保全と比較して12〜18%高いコストがかかります。計画的な保守管理により、これらのコストを大幅に削減できます。

法令遵守の複雑さ
建築基準法・消防法・電気事業法など、多岐にわたる法令対応が必要です。点検記録の管理や報告書の作成が煩雑で、コンプライアンス違反のリスクが常に存在します。
これらの課題を解決するには、予防・予知保全型への転換が不可欠です。

出典: Uptime Institute調査(2023年)、Inteleca(2025年2月)、WorkTrek(2025年5月)

設備故障等によるダウンタイムは大きな影響をもたらす

経済損失
データセンターのダウンタイムは1分あたり約9,000ドル、大規模なセンターでは1時間で数十万ドルの損害になります。

顧客満足度の低下
サービス停止はユーザー体験に直結影響するため、顧客満足度が低下し、解約率上昇にもつながります。企業イメージや信用も毀損します。

SLA違反によるペナルティ
サービスレベル契約(SLA)で定められた稼働率を下回ると、違約金や補償金が発生し、さらなる経済的損失を被ります。

Uptime Instituteの調査では、重大障害の54%が10万ドル以上、16%が100万ドル以上の損害をもたらしています。

出典: Uptime Institute調査(2023年)、ProSource(2023年9月)

保守コストを削減する予知保全の優位性

事後保全の隠れたコスト
「壊れたら直す」という事後保全アプローチは、初期コストが低く見えますが、緊急対応、予期せぬダウンタイム、部品の緊急調達などにより、長期的には最も高コストになります。

予防保全の効率性
計画的な保守スケジュールに基づく予防保全は、ダウンタイムを減少させ、設備寿命を延ばし、長期的なコスト削減につながります。研究によると、予防保全は事後保全と比較して12〜18%のコスト削減効果があります。

予防保全の優位性
センサーデータと分析に基づく予知保全は、必要なときだけメンテナンスを行うため、予防保全よりもさらに8〜12%、事後保全と比較して最大40%のコスト削減が可能です。

スマートビル・スマートデータセンターにおける予測的な予防保全アプローチは、建物の保守とエネルギーコストを最大20%削減できることが実証されています。

出典: Inteleca(2025年2月)、Advanced Technology Services、BGE Smart Energy

「現場の情報を経営判断に活かす」ための管理一元化の推進

ネットスターズが提供するビル・データセンター向けスマートソリューションは、こうした課題に対して「現場の情報を経営判断に活かす」ことを目的とし、エネルギー管理・メンテナンス管理・顧客管理を一元化します。

ビルやデータセンターには、空調や電気、セキュリティなど多くの設備にセンサーが入っています。これらは Softdel社のBACnetという通信規格を通じて、リアルタイムにデータを収集できます。

収集データをEdifice(Softdel が提供しているビル向け IoT エッジプラットフォーム)とEAM(Enterprise Asset Management)に結びつけ、AI解析すると、振動や温度、電力消費のちょっとした変化から “故障のサイン” を早期にキャッチが可能です。これにより、システムダウンを未然に防ぎ、重大なインシデントが起きる前に対処できます。

さらに、これらの情報を BIMのデジタルツインに統合することで、もし異常が見つかった場合には 建物の3Dモデル上で該当箇所がハイライト表示されます。現場の担当者は「建物のどこで問題が起きているのか」を一目で把握でき、直感的に対応できます。

センサー・AI・BIMを組み合わせることで、トラブルが起こる前に防ぎ、現場対応をスピードアップさせるのが、これからのスマートビル・スマートデータセンター管理です。ネットスターズではこれをワンストップで開発・導入できるソリューションを提供しています。

それぞれ強みをもつ3社でサービスを提供

Softdel:BACnet分野の国際的リーダーであり、インドに本社を置く。グローバルにビルオートメーションやスマートビルディング分野のソフトウェアを展開。
・強み:BACnet対応ソリューションにおいて20年以上の経験を持つ。センサーや機器からのデータを標準化し、拡張性の高い形でクラウドや各種IoT基盤に接続。
・実績:世界中の大手ビル管理企業や機器メーカーとパートナーシップを構築。スマートシティやグリーンビルディングの基盤技術として多数導入。

Hexagon EAM:エンタープライズ資産管理の世界的リーダーでありスウェーデンを拠点とするHexagonグループの一員。旧Infor EAMを買収・継承し、グローバルに展開。
・強み:Gartner Magic Quadrantにおいてリーダーに選出される実績を持つ。製造業、インフラ、ユーティリティ、公共機関など幅広い業種に対応。
・提供価値:設備や資産のライフサイクルを通じた可視化・最適化を支援。メンテナンス効率化、稼働率向上、エネルギー効率改善を実現するオールインワンプラットフォーム。
・実績:世界100か国以上、数千社の顧客に導入済み。サステナビリティや規制対応の分野でも高い評価を獲得。

ネットスターズ:グローバルにサービスを展開するフィンテック企業。日本市場の橋渡しとリアルタイム処理ノウハウを強みとする
• 決済分野で培ったリアルタイム処理・高可用性システムの知見。
• 国内法規制や商習慣への対応を含め、グローバル基盤を日本市場で実装可能。

後編では、具体的なソリューションについて紹介します。