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AIを活用したインバウンド対応サービス~言語の壁と労働力不足の解決へ

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キャッシュレス決済やDXサービスを展開するネットスターズは2023年12月6日、東京・日本橋で、事業戦略と業界の最新動向をパートナー企業の皆さんへ紹介するビジネスカンファレンスを開催しました。カンファレンスでは「イノベーションとグローバル」をキーワードに各分野に精通したゲストをお招きし、5つのセッションで、海外のキャッシュレス決済やDXの最新事情、導入企業の実績などを紹介しました。

今回はそこからAIを活用したインバウンド対応サービスを紹介します。「AI-From Automation to Intelligence」をテーマに、百融雲創シニアマネージャー 尹 卓さんと、ネットスターズ取締役CTO陳 斌(Chuck Chen)が登壇したセッションの様子です。

AIとデータを組み合わせて進化する、生成AIの次の展開

Chuck 近年はたくさんの新しい技術が登場していますが、中でも注目度が高いのは生成AIでしょう。この技術はすでにさまざまな業界で、ブレイクスルーをもたらしています。労働力不足に直面する日本企業にとっても、生成AIの活用は課題解決の大きなカギになるでしょう。

とはいえ、人が行っていた業務を自動化すること自体は、特に目新しいトピックではありません。自動化といっても2つのタイプがあり、1つは、「オートメーション」です。これは、事前に定義して定形化したプロセスをシステムが繰り返してくれる仕組みです。

これに対し、AIがもたらす自動化は、これまでのオートメーションとは本質的に異なります。AIは文字通りインテリジェンスを持っており、複雑な事象に対しても学習を続けることで臨機応変に対応してアウトプットできる点が、従来のオートメーションとは大きく異なります。

右:百融雲創シニアマネージャー 尹 卓様
左:ネットスターズ取締役CTO陳 斌(Chuck Chen)

今回は中国の百融雲創さんをお招きし、同社が展開されている生成AIを使ったサービスについて紹介いたします。それでは尹さん、よろしくお願いしたします。

尹さん 百融雲創は2014年の創業以来、AI技術の開発と応用に取り組んできた企業です。2021年には香港証券取引所に上場し、中国本土の銀行や保険会社、インターネット大手など約7,000社の顧客基盤を有しています。CEOの張韶峰は中国のAI領域のリーダー的存在であり、AIとデータを組み合わせることが顧客の課題解決のカギとなる、を持論としています。日本市場に対しても、当社のAI技術を活用して日本企業が直面する課題をどう解決できるか、ネットスターズとのコミュニケーションを通して探ってきました。

多言語でのコミュニケーションに加え、実行能力も備える“AvatarGPT”

尹さん 私自身、毎年のように日本を訪れて旅を楽しんでいますが、多くの場面で言語の壁による不便を感じています。もちろんこれは私だけでなく、多くの訪日客が直面しているインバウンド対応の課題です。高品質のサービス提供を重視する日本企業であっても、人的リソースとコストの壁に阻まれて、こうしたコミュニケーションの課題を解決できていません。

そこで、複数の言語を操り、専門知識をスピーディに学習し、なおかつ量産可能なデジタルヒューマンがあれば、この課題を解決できるかもしれないと考えました。そこで開発したのが、「AvatarGPT(アバターGPT)」です。

AvatarGPTは、百融雲創が対話型AI分野で開発した、3Dデジタルヒューマン製品です。AI技術を利用して人の外見、動作、言語をリアルに再現し、中国語、日本語、英語をはじめ、多くの言語でリアルタイムに会話ができます。AvatarGPTは自社開発の「ロボット開放プラットフォーム」を基盤として開発され、テキスト、画像、動画などのさまざまな素材でトレーニングでき、学習をサポートします。

たとえば、「中華料理を食べたいがおすすめの店はあるか」「ここから浅草寺に行くにはどうしたらいいか」「8階のフロアマップを見せてほしい」などといった質問に、正確で詳しい応答をすることができます。AvatarGPTをどこまで拡張できるかは、利用する企業がどこまでシステムを解放するかによりますが、企業のシステムとAPI接続することで、必要な情報を活用しさまざまな業務を担うことが可能です。

ホテルの業務では、客室の予約やチェックイン・アウトの対応を宿泊客の母国語でサポートができます。また、在庫状況などの問い合わせにも情報を検索して案内でき、商品の購入にも対応していまです。地図や為替レート、天気予報などサードパーティ情報のプラグインも提供しており、お客様が自社で開発する必要はありません。

世界中の言語の障壁をなくしたい

尹さん AvatarGPTは将来的に、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせた形で提供することを予定しており、等身大のデジタル大画面や、カウンターに設置する上半身の画面なども想定しています。また、ハードウェアが不要なクラウドベースでのデジタルヒューマンソリューションの提供も予定しています。もちろん、AvatarGPTの外見はカスタマイズが可能です。


AvatarGPTは、商業施設や宿泊施設、観光地や空港、銀行など、海外からの旅行者が訪れるさまざまなシーンで活用が可能です。当社のAvatarGPTが、言語の壁のないコミュニケーションの一助となり、世界中の言語の障壁をなくせることを願っています。

Chuck 素晴らしいデモンストレーションをありがとうございました。この画期的な技術がさまざまな場面で活用され、さまざまな言語を話す人たちのコミュニケーションが円滑に進む様子が手に取るように想像できました。

テクノロジーで世界は変わる、変えられるということは、すでにさまざまな先駆者が証明しています。AvatarGPTもきっと、世界を変えるテクノロジーになるでしょう。当社も百融雲創様をはじめとするパートナー企業様と協力し、革新的な技術をお客様へ届けるための取り組みを続けていきたいと思います。