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海外トラベルエージェンシーと決済~“StarPay-Biz for Hotel”で、ホテルの請求業務をDX

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キャッシュレス決済やDXサービスを展開するネットスターズは12月6日、取引先の皆さんをお招きし、決済とDXをテーマとしたビジネスカンファレンスを開催しました。カンファレンスでは5つのセッションが行われ、好評のうちに終了しました。

本記事では、「海外トラベルエージェンシーと決済」をテーマに、Mastercard プロダクツ&ソリューションズ マネージャーの上村貴哉さんと、ネットスターズ執行役員兼事業統括本部決済事業部事業部長の滝島啓介が登壇したセッションの様子をお伝えします。

右からMastercard プロダクツ&ソリューションズ マネージャー・上村貴哉氏、㈱ネットスターズ 執行役員兼事業統括本部決済事業部事業部長・滝島啓介

BtoCのキャッシュレス実現を経て、BtoBの請求・支払い業務のDXへ

滝島 ネットスターズは2015年から、中国の決済サービスであるWeChat Pay(ウィーチャットペイ/微信)を日本の店舗で利用できるようにしたことを皮切りに、加盟店の売上増加に貢献してまいりました。17年からはマルチQRコード決済ソリューションの提供を通して、加盟店の決済業務の効率化と売り上げ増をサポートしています。この8年間の取り組みを通して、BtoC領域での決済・請求業務のキャッシュレス化とDXを実現してきました。

当社が次に目指すのは、BtoBの請求・支払い業務のDXです。BtoBといってもさまざまな領域があるわけですが、その第一弾として、ホテル業界向けに特化した新しい決済プラットフォーム、“StarPay-Biz for Hotel”をリリースいたしました。

日本の宿泊施設が海外の旅行代理店やオンライントラベルエージェンシー(OTA)と新しく取引を開始する際、支払い面で不安を感じることがあるかと思います。また、急激な需要の増加で労働力不足に直面する施設も多くあります。こうした不安や課題を払しょくし、業務を効率化するツールが、このStarPay-Biz for Hotelです。

StarPay-Biz for Hotelにおける決済を支えているのが、Mastercard VCN※というプラスチックカードを伴わないバーチャルカードによる決済のしくみです。ここからはMastercardの上村様に、海外のホテル業界で広がる新しい形の決済の最新事情と、 Mastercard VCN についてご説明をいただきます。

 

決済のたびにカード番号を発行してセキュリティリスクを軽減

上村 VCNとは「バーチャル・クレジット番号」の略で、BtoB向けにMastercard®クレジットカード番号を、バーチャルに決済ごとに発行するサービスです。海外の旅行業界ではグローバル化に伴う取引先の増加・流通経路の複雑化を背景にMastercard VCNの普及が急速に進んでおり、旅行代理店(店舗型、オンライン型)やTMC(トラベルマネジメントカンパニー)と宿泊施設との間の決済を効率化する手段として定着しています。すでに世界200か国以上の活発に利用されていますが、日本ではまだまだこれからという状況です。

Mastercard VCNは企業向けに発行される法人カードに紐づいており、1回の取引毎に使い切りのカード番号が発行されるしくみです。決済金額は取引の都度、必要な額だけ何回でも無限に発行できるうえ、利用できる期間も自由に設定できます。取引先の業種を特定して、その業種でしか使えないようにすることも可能です。

取引が終わればカード番号を無効にできるうえ、親カードにあたる法人カードの番号を流通させる必要がなくなります。要するに、Mastercardクレジットカードの便利さはそのままに、不正利用などのセキュリティリスクを抑えながら未回収リスクも軽減し、安心して決済していただけるしくみです。

海外の旅行業界で普及しているMastercard VCNの流れをご説明すると、まず旅行者が旅行代理店を通じてホテルを予約して決済すると、代理店がクレジットカード発行会社にMastercard VCNを要求して取得します。そして取得したMastercard VCNの情報(カード番号と有効期限)を、予約情報と共にホテルに送付し、ホテルは旅行者のチェックアウト後に、受け取ったMastercard VCN情報で決済リクエストを送信し、カード加盟店から支払いを受けるというフローになります。

安全かつ便利に決済ができるしくみで大変好評を博してはいるのですが、これまでMastercard VCNの情報をホテルスタッフが一つひとつ手入力して決済しなければならず、効率面での課題が指摘されてきました。

StarPay-Biz for Hotelでホテル側の業務効率を劇的に改善

上村 国内の宿泊施設の、こうした「手間がかかる」という課題をネットスターズのStarPay-Biz for Hotelが解決してくれています。StarPay-Biz for Hotelでは、VCN等のクレジットカード番号を含めた予約情報をシステムに保持することで、ホテルのスタッフがクレジットカード番号を入力するといった手間やセキュリティリスクを発生させることなく、管理画面で確認ボタンを押下するだけでの決済を実現しています。

バーチャルカードの番号を受け取って保管し、それを手入力して決済するという、海外のホテル業界で行われているプロセスが一切不要になるわけです。ホテル側の経理事務を劇的に効率化できることから、StarPay-Biz for Hotelをきっかけにいよいよ日本の旅行業界にも本格的にMastercard VCNが普及し、一般化していくだろうと確信しています。

滝島 日本を訪れるインバウンド旅行客はすでにコロナ前を上回っており、海外からの宿泊数も急激に伸びています。当社はMastercard様と連携し、StarPay-Biz for Hotelを通して宿泊施設の経理部門が抱える課題を解決し、日本の観光産業をいっそう盛り上げていくサポートをしたいと思っています。本日はどうもありがとうございました。

*Mastercardバーチャルカード番号(VCN)とは、法人向けMastercardクレジットカード(パーチェシング・カード)を親番号として発行されるバーチャル子番号。Mastercard VCNは、親番号の与信枠の範囲内で、用途別に1回の取引だけ、あるいは決められた回数や期間のみ利用できるよう複数発行でき、ひとつのMastercard VCNに対して「利用可能額」や「利用期間」など、利用の制限や条件を設定することが可能。利用分は一括して、親番号のカード名義に請求される