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2025年は決済業界にとって大きな変化が訪れた年でした。特に注目されたのが、ステーブルコイン。米国でGENIUS法が制定されたことを契機に、各国でステーブルコインを巡る動きが活発化しました。
また2025年は、日本でフィンテックという言葉が浸透し始めた2015年から数えてちょうど10年の節目の年でもありました。2024年には日本のキャッシュレス決済比率が40%を超え、10年前と比べて着実にキャッシュレス決済が浸透しています。
そんな2025年を振り返り、フィンテック業界の動向や2026年に向けた取り組みについて紹介します。

2025年7月、米国でステーブルコインの包括的な法的枠組みとしてGENIUS法(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act of 2025)が制定されました。GENIUS法では、ステーブルコイン発行体の適格要件や裏付け資産保有の義務付け、マネーロンダリングの法規制遵守などが定められています。こうした法的枠組みができることで、ステーブルコインの信頼性が高まり、結果としてステーブルコインの流通促進につながることが期待されています。
また、こうした動きを受け、さまざまな決済プレイヤーがステーブルコインの導入を進めています。例えばVisaは、イシュア(クレジットカード発行会社)とアクワイアラ(加盟店管理会社)間で、ドル建てステーブルコイン「USDC」による精算を開始しました。
日本でもステーブルコイン実装の動きは活発化しています。2025年10月に、初の円建てステーブルコイン「JPYC」が発行されました。また、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクも、共同でステーブルコイン発行の実証実験を行うと発表しています。
ネットスターズも2025年12月、日本初となるステーブルコインによる店舗支払いを開始する旨を発表しました。QRコードを活用し、羽田空港の実店舗でサービス実証を行い、ステーブルコインをリアルな店舗決済に接続する際の技術面・運用面での課題解決を目指します。
・参考
ネットスターズ、日本初となるステーブルコイン(USDC)による店舗支払いの取扱いを羽田空港で実施:https://www.netstars.co.jp/news/8914/
クレジットカードのタッチ決済で乗車できる鉄道やバス路線が拡大しています。小田急グループは小田急線をはじめ、箱根・江ノ島・大山エリアの鉄道・バスでタッチ決済を順次導入&対象駅を拡大。都営地下鉄および京急線では、2025年12月から全駅でタッチ決済が利用可能となっています。
また、首都圏の鉄道事業者11社(小田急電鉄、小田急箱根、京王電鉄、京浜急行電鉄、相模鉄道、西武鉄道、東急電鉄、東京地下鉄、東京都交通局、東武鉄道、横浜高速鉄道)は、タッチ決済乗車の相互直通利用を実現するため、共同事業協定を締結しました。サービス開始は2026年春以降を目指しています。
他方、JR東日本は2026年秋にコード決済「teppay」の提供を開始すると発表。モバイルSuicaに機能追加する形での提供となり、2027年にはモバイルPASMOとも連携する予定です。
2025年4月13日から10月13日まで開催していた大阪・関西万博は、「現金を一切取り扱わない全面的キャッシュレス決済」による運営で話題となりました。会場では235店舗で73種類におよぶ国内最多クラスの決済ブランドが利用可能となっており、またサーバー管理型のWeb2、ブロックチェーンのWeb3の管理手法を用いたデュアル方式のウォレットアプリ「EXPO2025デジタルウォレット」も実装しました。さらに、日本の統一QRコード規格「JPQR」と海外の統一QRコード規格をつなぐ「JPQR Global」を初導入。これにより、訪日外国人観光客が自国のQRコード決済を使って支払いを行えるようになりました。
大阪・関西万博の運営母体である2025年日本国際博覧会協会は会期終了後、「大阪・関西万博 全面的キャッシュレス決済運用の効果検証報告書」を公表しています。それによると、184日間の開催期間中、累計約2,900万人という来場者を迎える中で、システム障害などによる決済停止は一度も起こらず、また来場者からも全面キャッシュレスに対する大きな不満は出なかったといいます。
さらに、今後普段の生活でもキャッシュレス決済を使いたいとの意向を示す利用者は9割を超えました。店舗においても、現金管理の手間の削減や業務効率の向上、現金取り扱いリスクの削減を感じた店舗は9割を超え、通常の店舗と比較すると、決済関連作業に要する合計時間は10分の1に短縮。レジ1回当たりの決済時間は約2倍の高速化を実現するなど、キャッシュレス決済導入による明確な効果が表れています。
・参考
ネットスターズ、2025年大阪・関西万博にて国内初導入の「JPQR Global」をスイッチングシステム運用事業者として支援、第一弾はカンボジア:https://www.netstars.co.jp/news/8372/
ネットスターズ、「JPQR Global」にインドネシア統一QRコードが対応、大阪・関西万博で利用開始:https://www.netstars.co.jp/news/8447/
大阪・関西万博 全面的キャッシュレス決済運用の効果検証報告書:https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/251117_cashles_report_r2.pdf
2025年は、決済体験へのAI導入が進んだ年でもありました。VisaはAIエージェントが商品検索から購入までを担う「Visa Intelligent Commerce」を発表。競合であるMastercardも、同様の「Mastercard Agent Pay」を発表しています。
また、Alipayを提供しているアント・グループは、2025年9月に開催されたグローバル技術サミット「外灘大会」で、AIとの音声対話のみで注文から支払いまで完了する「AI決済」を公開しました。PayPalはOpenAIと提携し、加盟店がChatGPT内で商品を提供できるようにするとともに、2026年からChatGPTユーザーがChatGPT内で直接購入代金を支払えるようにする予定です。
BtoB領域では、中小事業者向けサービスに参入が増えています。例えば三井住友銀行は、中小企業やベンチャー企業向けのデジタル総合金融サービス「Trunk」の提供を開始しました。JCBは個人事業主や中小企業の資金繰りを支援するプラットフォーム「Cashmap」をスタートし、オリエントコーポレーションも同様のサービスを2026年に展開予定です。デジタルガレージが店舗のデジタル化を支援するSTORESと提携し、STORESのサービスを利用する中小事業者向けに請求書カード払いサービス「STORES ビジネスあと払い powered by Digital Garage」の提供を開始するなど、BtoB向けの請求書カード払いサービスも増加しています。
そんな中、ネットスターズは中小の旅行事業者向けに企業間キャッシュレス決済ソリューション「StarPay-Biz for Hotel」を推進。2025年は、東南アジア最大級の旅行予約プラットフォーム「Traveloka」や、全国の旅行事業者とつながりのある全旅と戦略的提携を締結し、国内旅行事業者と海外の旅行代理店・OTA(オンライントラベルエージェント)の間の支払いや精算業務の効率化を支援しています。
・参考
ネットスターズ、東南アジア最大級の旅行予約プラットフォームTravelokaと戦略的提携:https://www.netstars.co.jp/news/8750/
全旅とネットスターズ、企業間決済のキャッシュレス化に向け戦略的業務提携:https://www.netstars.co.jp/news/8747/
※記事の内容は公表日時点のものです。