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カンボジアでのインバウンド決済環境向上に取り組むーグローバルサービス事例

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2023年6月、ネットスターズはカンボジアの金融機関(サタパナ銀行)に対して、外国人観光客が、カンボジアでも自国のスマホ決済で支払えるよう、マルチキャッシュレス決済ソリューション「StarPay」を通じて、システム接続を行いました。

参考:6月よりカンボジアで決済サービス「StarPay」を提供開始カンボジアのサタパナ銀行の海外QR決済サービスに「StarPay」採用

日本のフィンテック企業のシンガポールオフィスが中心となり、カンボジアで実現したこのグローバルな取り組み。カンボジアの金融機関に、中国など他の国の決済サービスを連携させるにあたって、どのように推進したのか、ネットスターズのシンガポールオフィスのディレクター、ジャクリーンに聞きました。

ネットスターズシンガポール ジャクリーン

実績に基づく丁寧な提案が選定の理由

カンボジアの金融機関との交渉開始は2021年だったとジャクリーンは言います。 

ジャクリーン 最初にコンタクトが取れたのは、別の部署の人でしたが、そこから決済部門の担当者に繋いでもらいました。国をまたいで、連日様々なやり取りを行いました。

日本企業のシンガポール支社が、カンボジアの金融機関に決済サービスの提供に至るまで、どのように現地から理解と信頼を得たのでしょうか? 

ジャクリーン 前向きに検討してもらえるよう、提供システムの詳細に加え、導入までのスケジュールを具体的に提示しました。また、日本に中国の決済サービスを導入した経験など、これまでの実績を元に、早く導入するためのプロセス提案を多数行いました。以前彼らは、カンボジア国内の決済事業者を通じて、海外の決済サービスをカンボジアへ導入しようとしていました。ただ、そのプロジェクトは結果的に失敗に終わっていました。金融機関側で過去の内容とも比較し、ネットスターズは海外決済サービスの導入に詳しく、実績もあり、信頼できると判断いただけました。

サタパナ銀行担当と、ネットスターズメンバー

各国の調整とルールの変更を乗り越える 

2年にわたるプロジェクトでは、乗り越えるべき課題もあったといいます。

ジャクリーン まず直面したのは、カンボジアに海外から接続する決済サービス事業者の選定です。私たちだけでなく、決済サービス事業者にとっても、接続は工数のかかるプロジェクトであるため、海外接続に積極的な事業者を見つける必要があります。実際に、接続候補事業者の中には断念するところもありました。そうした中、中国のWeChat Payと韓国のサービス事業者は、カンボジア市場に魅力を感じ、共同で進められることになりました。カンボジアの金融機関も粘り強く取り組んでくれましたし、このプロジェクトは私たちだけでは成し得なかったと感じています。

他にも、ロングタームの国際プロジェクトならではの難題も発生しました。

ジャクリーン  プロジェクトを進行する上で、最も困難だったのは、カンボジアの金融機関、決済サービス事業者そしてネットスターズ、それぞれのルールが、時間の経過により変わることでした。法律を含め決済に関するルールが変更になると、開発にも影響することがあります。突然変更されることもあり、それを、ひとつひとつ確認し、対応方針を検討、関係各社と調整して進めることが一番大変でした。ただ、それぞれの協力を得て前向きに乗り越えていくことができました。

各国オフィスで業務連携。安定性が高評価 

2023年6月に、日本企業とも関係の深い、カンボジアのサタパナ銀行でWeChat Payの利用開始を発表しました。また、他の金融機関や他の決済サービス会社との接続もカンボジアで進めており、今後さらにStarPayの利用拡大を見込んでいます。

ジャクリーン  将来的にカンボジアの10万店舗がStarPayのゲートウェイを活用すると見込んでいます。利用拡大に向けて、私たちはさまざまな面でサポートしていきます。

カンボジアの金融機関での決済のローンチから運用まで、ネットスターズがグローバルなチームを作って支援しています。

ジャクリーン  東京オフィスおよび他の支社と連携して本プロジェクトを遂行してきました。東京オフィスは全体の意思決定や技術開発面を担い、シンガポールオフィスは国際的なタスクを調整しました。ベトナムオフィスでは東京オフィスと共に開発を担い、開発後のサービス運用をシンガポールオフィスと協働して取り組んでいます。決済システムの安定運用のために、シンガポールオフィスとベトナムオフィスの2か所でダブルチェック機能を構築しています。

ネットスターズの提供サービスについてカンボジア現地からの評価はいかがですか?

ジャクリーン  システムの安定性に、高い評価を得ています。現地では過去の失敗から、正式サービス開始前に入念にテストを行いました。テストの中で、負荷をかけてもシステムにまったく影響がなかったことに、銀行側も驚きつつ安心していました。開発からサービス開始にいたるまでのプロダクトの使いやすさや、システムを部品として開発し、柔軟にカスタマイズできるスクラッチシステムは、ネットスターズが評価されるポイントだと感じます。また、携わるスタッフのモチベーションが高く、国をまたいで協力しあえる環境も非常に大きいと思います。

サタパナ銀行はモバイルサービスに注力している

ネットスターズはカンボジアでの決済サービスの利便性向上に取り組みつつ、他の国でも同様にサービスを広め、クロスボーダー決済の拡大に貢献していきます。

ASEAN諸国で進む、クロスボーダーでの決済・送金サービスの連携。ASEAN諸国からの訪日観光客は今後さらなる増加が見込まれるため、各国から日本の対応も期待されるかもしれません。

サタパナ銀行オフィスタワー