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国内最大のフリーマーケットアプリ「メルカリ」を運営しているメルカリは、2024年3月より、スキマバイトサービス「メルカリ ハロ」の提供を開始しています。新しい働き方を提供することで、サービス開始から約1年で大きく登録者数を伸ばしている「メルカリ ハロ」。ネットスターズは2025年6月より、この「メルカリ ハロ」との協業を開始しました。加盟店向けの売上管理画面「StarPay-Works」などを通じて「メルカリ ハロ」を紹介することで、加盟店における人手不足の課題解決をサポートしています。今回は「メルカリ ハロ」の特長や事業者目線での意外な導入効果について、株式会社メルカリ メルペイ加盟店営業責任者 伊藤 嵩人氏にお話を伺いました。
「メルカリ ハロ」は、いますぐ働き手が欲しいパートナー(事業者)と、いますぐ働きたいクルーをつなぐスキマバイトサービスです。「スキマバイト」や「スポットワーク」と呼ばれる短時間、単発での働き方を仲介するサービスは、日本では2018年頃から登場しました。その後コロナ禍を経て、働き手側の柔軟な働き方に対するニーズや、事業者側の人手不足の課題が大きくなったこともあり、市場が拡大しています。
「メルカリ ハロ」のリリースは2024年。スキマバイトサービスとしては後発に当たりますが、この点について伊藤氏は、「スキマバイトサービスが盛り上がってきたから参入したというわけではないんです」と強調します。
メルカリは、「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」ことをグループミッションに掲げています。その観点から、人の持つ「時間やスキル」にも着目。実は数年前から、こうした時間やスキルをメルカリの目指す価値循環の輪に入れる構想を描いていたそうです。
「特にコロナ後は、人手不足はあらゆる業界で不可避の課題となっています。そうした中で、従来の採用手法のみで従業員を集めることが難しいと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。こうした市場ニーズの高まりと、当社のグループミッションが合致して、サービスとして出せるタイミングになったのが2024年だったのです」
「メルカリ ハロ」の登録者数は約1,200万人(2025年6月時点)、パートナー数は全国約15万店舗(2025年1月時点)。2024年2月から2025年2月の1年間におけるスキマバイトサービス新規登録会員数が業界No.1※になるなど、サービス開始から約1年で大幅に登録者数が拡大しています。
拡大の要因として伊藤氏は、始めやすさを挙げます。 他のサービスでは経験者限定の募集も多い中、「メルカリ ハロ」では求人の約8割が未経験者でも応募可能となっています。なお、「メルカリ ハロ」では求人への応募の際、履歴書の提出や面接は不要となっており、そうした面からも始めやすいサービスになっています。また、グループ企業の「メルペイ」で培った安心安全にサービスを運営する技術力を活かすことで、金融機関レベルの高い水準での本人確認が実現できており、事業者側は安心感を持って人を雇うことができます。
※ 一般社団法人スポットワーク協会調べ(2025年2月15日時点)
事業者と働き手が気軽にマッチングできる「メルカリ ハロ」は、長期雇用の入口にもなっています。
「スキマバイトで何回か働いてもらい、仕事内容や職場と相性が良いとなったら長期雇用(正社員・長期アルバイトやパートなど)への切り替えを打診する、といったケースもあります。仕事への意欲や職場との相性は、履歴書や面接だけではなかなか分からないと思いますが、そんなときに『メルカリ ハロ』をインターン的に活用していただくことで、新しい雇用の入口を作れていると考えています」
パートナー側には、採用コストを削減できるメリットもあります。通常の人材募集では、人材サイトへの広告掲載が一般的な手段ですが、広告費用をかけて応募があったとしても、雇用のハードルは高いといいます。
「例えば10人の応募があったとして、まず面接に来る人と来ない人が出てきます。さらに、面接をしてみたら不採用という結果も当然ある。仮に採用になっても、数カ月で辞めてしまったりして、そうなるとまた採用コストが必要になります。『メルカリ ハロ』であれば、履歴書のチェックや面接といった負担なく、本人確認が完了している人を募集できて、まずは1回働いてもらえます。そうして職場にマッチした人には、再度働いてもらったりもできる。この採用の柔軟性が、パートナー様にとっても大きなメリットになっていると思います」
なお、「メルカリ ハロ」での求人募集でかかる費用は、サービス利用料(クルーの給与+交通費の30%)と振込手数料のみ。仮に長期雇用へ変更したとしても、追加費用はかからないため、通常の採用と比べてかなりのコストダウンにつながります。
採用母集団の幅広さも、「メルカリ ハロ」の特長です。「メルカリ ハロ」は「メルカリ」のお客さまが利用するため、一般的なスキマバイトサービスと比べても豊富な人材の採用が可能だといいます。
「一般のスキマバイトサービスは、『短時間のバイトをしたい』という人が集まります。一方『メルカリ ハロ』は、『メルカリ』でお買い物や出品を楽しんでいる中でシームレスにサービスに触れる設計です。短時間バイトが目的ではなく、自分に合う仕事があったら働いてみたいという人が多いので、結果的に長期雇用にもつながりやすいんです」
育児などでブランクがある場合でも、短時間のスキマバイトなら働きやすく、そこから仕事の楽しさや「もっと働きたい」といった潜在ニーズを呼び起こすことにもなっているそうです。
スキマバイトというと若年層の利用が多いイメージがあるかもしれませんが、「メルカリ ハロ」のクルーは30~40代も多く、50代以上も2割ほどと、幅広い年齢層が利用しています。 事業者目線では、社会人経験のある人が応募してくれる可能性が高いため、こうした点もメリットの一つです。
パートナーの業種も幅広いそうですが、特に多いのが物流、小売、飲食の3業種。これら3業種は前述のような短時間での雇用ニーズが強いといいます。
「例えば飲食店だと、ランチタイムの2時間だけ人が欲しいといったニーズも多い。しかし、今までの求人サービスではそういった募集が難しかったので、結果的に1日7時間で週5日勤務、みたいな雇い方になっていたんです。一方『メルカリ ハロ』では、本当に必要な時間だけ人を増やす、といった募集が可能です」
また、最近は無人シーンでの募集も増えているそうです。
「最近は、空き時間に近所の駐車場に行って清掃して帰る、といったお仕事も増えてきています。こうした無人サービスの場所での作業をスポットで募集できるのも、スキマバイトならではの利点だと思います」
さらに、グループシナジーを発揮する場面も出てきています。メルカリでは法人向けにEコマースプラットフォーム「メルカリShops」を提供していますが、その商品登録などの作業を「メルカリ ハロ」を通じて依頼するケースも増えているそうです。
「メルカリ ハロ」を利用することは、従業員の負担軽減にもつながります。人手が増えたことによる残業時間の短縮や、簡単な作業をクルーに任せることで従業員が本来の業務に専念できるなど、現場でのメリットも大きいと伊藤氏は話します。また、未経験者に仕事を教えることでマニュアルができたり、従業員側もスキルが向上したりといった意外な効果も出ているそうです。
なお、クルーへの給与はメルカリが立て替え、パートナーへは1カ月ごとにまとめて請求されるため、支払いの手間もかかりません。
ネットスターズと「メルカリ ハロ」は、2025年6月より協業を開始しています。現在は、ネットスターズが加盟店向けに提供している売上管理画面「StarPay-Works」上に「メルカリ ハロ」へのリンクを設置することで、加盟店の人手不足という課題解決をサポートしています。今後は双方のアセットを活用し、管理画面上から直接人材募集ができたり、シフト管理機能を実装したりなど、加盟店にとってより使いやすい形でのサービス提供を目指していきます。